【about】
「strange haired girlは楽曲と脚本によって描かれる物語です。
脚本があって出来た曲もあるし、その逆もあります。
結構お互いの領域に踏み込んだりもしてて、結果とても素敵なアルバムになりました。」
【story】
離れ離れになった二人の女の子は、夜空を見上げ、互い言葉と歌で想いを語る。
目の前にいない友の事を思い浮かべ、紡がれる言葉と言葉。
どこからともなく聞こえてくる声に、その心は響きあう。
寂しさに耐えきれなくなってどうしようもなくなった時、
懐かしい声と共に彼女の肩を優しく抱いてくれたその感覚は、夢か現か……
そこに想う友が居たのかどうか、それはわからない。
が、その時、確かに彼女の心の中には友の温もりが届いた。
優しい、やわらかな、朝の陽光のような唄と共に……
寝ぐせをつけた女の子と、歌が大好きな少女。
ふたりの想いは遠く夜空を飛び越え交差する……
【track list】
01.prologue+
02.stray
03.If I were God+
04.神様になって
05.two of us+
06.にたものどうし
07.to you
08.strange haired girl+
09.ねぐせのおんなのこ
+はドラマトラックになります。
2013/4/29 M3 2013春 @TRC
space いb16 Laralastudio
price \500 (イベント頒布価格)
shop Band camp
BOOTH
【cast】
words&music takenouchi takahide twitter
vocal 栁 かおり
voice Wacca
guitar Juni twitter niconico mylist
scenario yoshi
【strange haired girl 小説版 】 written by yoshi
世界中に、たった一人……
静かな夜、不意に不安に陥る。
もう、会えなくなった訳でもないのに、遠く、自分の知らない場所に行ってしまったというだけで、何だか、取り残された気持ちになる。
家族とはまた違う、大事な、自分を支えてくれる存在。
そして、支えてあげたいと思える、かけがえのない存在。
友達。
ずっと、一緒に歩んでいくものだと思ってた、ずっと、隣にいてくれるものだと思ってた……
なのに、彼女は遠くに行ってしまった……
自分の夢を叶えるために、
遠くの世界へ……新たな世界へ旅立つ……
それは、彼女にとって素晴らしい事なんだろう……友人として、喜ぶべき事なんだろう……けど、私は、まだ、大人になりきれない……
星の輝く夜、不意に目を覚ました私は、一人、寝癖もそのままにいつも彼女と待ち合わせていた公園で、ポツリポツリと想いを巡らす。
離れて初めてわかることがある。
大事な物ほど、それは大きくて、重くて、こんなに息苦しくなるなんて、思いもしなかった。
もう一度、今を壊して、あの頃に戻りたい。
キミも、この同じ星を見てるかな。
キミは、この星の下で、今、何を思ってるのかな……
こんな私の姿を見たら、きっとキミは怒るかもしれないね。
そして、強引に、強く、私の腕を引っ張りあげてくれるかもしれない。
キミは、いつだって、強かったから。
キミは、いつだって、頼もしかったから。
私が一人、道に迷っていると、いつの間にか隣にいてくれて、助けてくれる……私にとって、キミは、本当に、神様みたいな存在だった。
一人でめそめそするな……端っこの世界で我慢なんかするな……
それが、彼女の口癖だった。
こんな頼りない私と、何で一緒に居てくれるんだろう……
最初は、私とは正反対の、全く違う世界の人かと思っていたのに……
本当に、出逢った時は、こんなに仲良くなれるとは思ってなかった。
ただ一緒にいる事が、こんなに楽しいなんて。
たまに口げんかもしたけど、気がついたら隣にいつもいる、それが当たり前……手を伸ばせば、すぐ届く、声をかければすぐ振り向い てくれる、私にとっては、キミは当たり前の存在。
……どんな存在だったのかな……
キミにとって、私は……。
私にとって、キミは……。
彼女は、私のことを自分と似ていると言っていたけど、私にはよくわからなかった。
でも、何も打ち合わせしていないのに、気がついたら同じ場所にいたり、何も言わなくても何が言いたいのか、なんとなくわかったりと、似ていたと言えば似ていたのかも……
でも、キミは私のことを現実主義だと言っていたけど、私からしてみれば、キミのほうが現実主義だったよ……
「出会ったんだもん、別れがくるのも当たり前だよ」なんて、つい口走っちゃったけど……それは、キミに対しての精一杯の強がりだったんだよ?
誰も居ない場所で出会えた二人……
あの日、私たちは一人ぼっちだった。
今日と同じような、星空の下、私たちは偶然出会ったんだ……。
それからずっと、お互いを知るにつれて、私たちは掛買いのない存在になっていった。
その事実は、遠く離れても変わることないのに……同じ空の下、私たちは離れても変わることないと思っているのに……。
……なのに、今は、世界中にたったひとり誰もいない世界に迷い込んだような気持ちに苛まれている。
この不安は、どこから来るんだろう。
ずっと一緒だと思ってた。
ずっと、変わらないと思ってた。
キミの声を当たり前に聞けると思ってた。
明けない夜はない……。
本当かな……。
一人じゃこの夜は長すぎる。
会いたい……声が聴きたい……。
声を聴かせて。
一人は、寂しいよ!
……泣き叫びたくなったその時、不意にふわりと私の頭を撫でてくれた人がいた。
寝癖がついた、私の頭を優しく撫でてくれる、温もりある懐かしい感触。
震える私の肩を、力強く押えてくれた。
その人の身体も、私と同じように震えていた。
夢か現か、私は、その夜、彼女の強い腕の中に抱かれたような感覚を覚えた。
寂しくて、どうしようもないその時、彼女は私を救いに来てくれた。
そして、確信したんだ。
寂しいのは、私だけじゃないんだって。
彼女もまた、私の肩を抱いて、震えるくらい寂しい想いをしていたんだって。
そこに彼女が居たのか、どうなのか、それはわからない。
けれど、長い夜を越えて、朝の優しい温もりと温かい光りに揺り起こされ目を覚ました時、確かに、彼女の温もりを感じた。
遠く、遠い世界に居ても、私たちは繋がっている……
そう思わせてくれる一夜だった。
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